FUKUROKO-JI

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Sayoko-daisy インタビュー #5

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ジャンゴにて、店長の松田さんを交えての1枚。自然と笑顔がこぼれる。

 

「もうCDは出さない」って思っていたけど、出したことによって生まれる縁とかもあるかもしれない

 

 

──5曲めの「ニアミス」ですが、これは先ほどおっしゃっていたギターのカッティングが入っていて、パーカッションの感じとかも「打ち込みで作りましたよ」っていうよりはバンドっぽいですよね。そういう風に、普通に生音のみでやりたいという気持ちってどこかにあったりしますか。

 

S:結構テクノって言われるんですけど、別にテクノ・ポップを作っているという意識もないんですよね。テクノ・ポップって言うほど聴いていないし、やっぱり自分の元にあるのはバンドの音なのかなっていうのがあるんですよね。だからその曲は生音っぽくやろうと思って作ったんです。

 

──そういう意味では8曲目の「回想列車」も生音っぽい感じですよね。バンドっぽい。

 

S:そうですね。

 

──今回のサポートの楽器はギターのみですが、もしいろんな人達が「じゃあ俺ドラムやるから」「パーカッションやるから」って全員揃ったら、バンドでやってみたいという気持ちもありますか?

 

S:1回位はやるかもしれないですね。……でも録音も大変ですし、お膳立てしてくれたらやるって感じですね(笑)。

 

──ライヴだと、この曲はバンド編成で観られたらすごくいいなって思ったんですよね。

 

S:ああ、そうですよね。

 

──次の「SUBLIMINAL」は、台風の日に東京から乗った夜行バスの中で歌詞が浮かんできたということですが、それはバスの中で携帯か何かにメモをしながら?

 

S:そう。珍しく家じゃなくて道中で作ったんです。

 

──車内では全然眠れなかったですか?

 

S:うん、台風でぐわって揺れるし、雨の音がバンバン鳴っていて、無事に家に着くのかな、帰れるのかな、って。……東京のライヴの後だったんですけど、それがあんまり上手くいかなかったんですよね(苦笑)。普通に演奏したけど、「アレ?」って違和感みたいなのがあったんですよ。ちょうど天気も荒れてて、自分も上手くいかなくて荒れてる、みたいな。この曲は歌詞に感情が一番出ているかなって思います。一番怒っていますもんね。

 

──怒っていますね(笑)。最後に出てくる叫び声はその怒りの象徴でもあると思うんですが、これはいつもの録音している環境で録音したんですか?

 

S:そう。「うわあああ!」って言いました。近所迷惑なので1発で(笑)。私はどちらかと言えば感情を出していない淡々とした歌い方やし、抑揚のない歌が多いから1回くらいは叫んでもいいかなって感じです(笑)。

 

──「Teach Your Beat」はバンさんが参加されています。

 

S:最初は一言だけセリフを言ってもらうつもりでお願いしたんですけど、やっぱり色々ダメ出しが入るんですよね。イントロに入っているセリフは、元々アウトロに入っていたんですよ。それが「セリフは前に持ってきてスッと終わった方がいい」というのを言われて。歌詞も送ったら微妙に直されて返ってきたり。タイトルも「変えたほうがいいな」って言われて「じゃあどうしましょう」って訊いたら「Teach Your Beat」って送り返されてきて。……最終的には、バンさんが居なかったら違う曲になってたなって思って、「クレジットにも入れておきます」という感じになったんです。

 

──バンさんに宛てた曲が共作になるという。

 

S:共作になっちゃったという(笑)。だから全然捧げていないですよね。

 

──歌詞で言うと「甘やかさないで」の後に「連れて行って」と来るじゃないですか。

 

S:そうなんです。めっちゃ矛盾しているんですよね。

 

──それがすごく可愛らしい女の子のイメージがあって、バンさんとSayoko-daisyさんとの親密さが分かるというか。もう親みたいな存在になっているんじゃないのか、とか思いながら聴いていました。

 

S:一応押しかけ弟子なので(笑)。まあバンさんに捧げるというか、元々バンさんが作るロックンロールが好きで、自分もそういうものを作ってみたかったっていうのがあったし、バンさんの歌詞は真っ直ぐなラブソングが多いんですよね。私はラブソングは基本的に書かないんですけど、ロックンロールだし、ストレートに思いを伝えているというのがいいなというのがあったんです。

 

──先ほども少しお伺いした「回想列車」は、ジャンゴの店長である松田さんに宛てた曲ということですが、曲調はシティ・ポップ調で、打ち込みではあるけれども、バンド演奏っぽいところもありますよね。歌詞で奈良の風景、それこそ近鉄奈良駅に増設された屋根とかが出てくるんですが、その辺りにやっぱりに純粋なシティ・ポップとの違いを感じるんです。普通は「派手なカフェ」という単語があったら、そこに「行こうよ」となると思うんですよ。純粋なシティ・ポップであれば「行って話そうよ」という流れになる。

 

S:そうですね、オシャレな感じで。

 

──加えて「家路を急ぐ子供」という視点はまず持てないと思いますし。

 

S:ないでしょうね。

 

──それでも、やっぱりその感じが純粋なシティになりきれていない奈良という都市の特徴をすごく表していると思うんです。この視点は住んでいないと書けないと思いますし、もちろんそれは悪い意味ではなくて、逆に「それでいいでしょう」という決着を付けているのが良いなと。

 

S:『ノーマル・ポジション』ですから。何をもってシティ・ポップなのか、というのもありますし、やっぱり知っているものしか書けないですから(笑)。ジャンルとかっていうのは、一聴して決めちゃいがちですけど、もっと自由でいいんじゃないかなって思いますね。歌詞の後半のイメージは「お客さんが来なくて暇してるジャンゴの店長」なんですよ(笑)。

 

──確かにジャンゴは子供とかが歩いていそうな立地にありますしね。

 

S:そうですね。毎日ツイッターをされているけど、そういう感じなのかなって。

 

──9曲めの「Sweet Secret」はスキャンダルの記事が元ネタなんですよね。

 

S:だから妄想ですよね。これは100%妄想です。

 

──でも元のネタというか、アイデアは実際にあったことなんですよね?

 

S:そう、桂小枝ですよ(笑)。

 

──ですよね(笑)。それを伺ってもいいのかなって思っていたんですが。

 

S:いやいや、色んな所で言っていますよ(笑)。ただ、あまり言い過ぎると曲を真面目に捉えてくれている人に申し訳なくなるので。

 

──不倫でプリンって出てきたらそれしかないですよね。音という意味で伺うと、冒頭からガムランのような金属音がずっと裏で鳴っているんですが、ああいうアイデアはどこから出てきたんですか? ちょっと民族っぽい感じはこれまでなかったなって。

 

S:本当に自然にやっていて、単純に音色も気に入ったからという感じですね(笑)。シンセで作った音なんですけど、ああいう音が一番ハマるかなと思ったんです。

 

──これは深読みかもしれないですが、バスドラが4つ打ちで入っているのが、歌詞の内容と照らし合わせると男の人の焦りの鼓動のように聴こえたんです。

 

S:ああ、なるほど。

 

──たまにドドドッと入ってくる所があったり、ブレイクした所に「だけよ」って声がディレイで繰り返されて入ってくるとか、この辺りはそういうことを考えてやったのかなと。

 

S:フフフ。いや、ずっと続くと飽きるからブレイクを入れようって。自然とですね。

 

──そういう意識はなかったんですね。

 

S:割と無意識にやってますね。

 

──元々Lioの「バナナ・スプリット」みたいな、かわいらしい感じを意識されていたということなんですが……。

 

S:そうそう(笑)。あのバスドラの音でポップにはならないなと思ったけど、せっかく打ち込んだからこのまま使いたいなって感じでした。歌詞ももうちょい可愛らしい感じだったんですけど、曲調がああいう感じになったので、つられて歌詞も重くなってきたんですよね。

 

──ラストの「Chime!」は高校生の頃に作った曲の再構築ということなんですが、これは曲作りの際に「そういえばこういう曲も作ってたな」と偶然見つけたものなのか、「いつか使いたいな」と思っていたものなのか、どちらですか。

 

S:思い出したって感じですね。そういうのもあったなって。

 

──夫婦という、Sayoko-daisyさんにとっては結構リアルなテーマの中で「なるべく笑って」という歌詞が出てきたのが印象的だったんです。「なるべく」なんやと思って。

 

S:そりゃあ人間なので不機嫌な日もあるじゃないですか。インターホンを鳴らされても出るのが怠い日もあるじゃないですか(笑)。喧嘩しているときもあるやろうし……。でも「なるべく」笑ってたほうがいいよなって。

 

──やっぱり、そういう影の部分を表現されているというのが特徴なんだなと思います。このテーマって、ものすごく明るく書こうと思えば全然書けると思うんですね。

 

S:うん。

 

──加えてこの曲は曲自体は明るいじゃないですか。でもそこに「なるべく」を入れるというのは、やっぱり特徴的に感じました。

 アルバム全体の話なんですが、例えば「Hangetsu-No-Machi」では声を結構エフェクト処理していたのが、今回はあまり手を加えていないじゃないですか。先ほどのウィスパー・ヴォイスの話じゃないですけど、やっぱりライヴでの再現性を意識してのことですか?

 

S:うん、そうですね。さっきお話したとおり、元々歌を嫌々歌っていたわけじゃないですか。でも、たとえ歌が下手でも自分の元の声に含まれている成分で人の気持ちが動くのかなっていうのがあって。それでも多少修正はかけますけど、なるべくなら自分の声に近い状態で聴いてもらったほうがいいかなと思うんです。やっぱりずっと電子音が入っているので飽きてくるというのもありますからね。

 

──なるほど……。ちなみに、今後はレコ発とかも予定されているんですよね。

 

S:とりあえず名古屋・京都・東京は決まっています。名古屋は1月10日、大須のサイノメで。京都は2月1日、新京極の誓願寺というお寺で奉納ライブをさせていただきます。2月18日は下北沢モナレコードに出演します。詳細は随時ホームページに載せていきますので、またご覧くださいね。

 

──「いつかミュージシャンになってアルバムを出したい」という目標が叶いました。次の目標というのはありますか?

 

S:うーん、ないですねえ(笑)。結構「やり切った!」って感じなんです。でも、『tourist in the room』を出したときも「やり切った!」「もうCDは出さない」って思っていたんですけど、出したことによって生まれる縁とかもあるかもしれなくて、色々いただいたお話を「面白そうだからやってみようかな」って何となく続けてきているので、多分今後もそういう感じなんだろうなと思います。やらないといけないことはもう2,3決まっちゃっていますし、今すぐやめるとか、そういうことでもないです。売れたいってわけでもないですし、どこのライヴハウスに立ちたいとかっていうのも……あるといえばあるけど、そのためにやっているというわけではないんですよね。とにかく今はライヴをやって、という感じなんですけど、色んな人とのコラボの機会があればやってみたいですね。やっぱり今回曲作りを手伝ってもらったことで、自分だけでは出来ない音っていうのが見えてきたんです。

 

──最後に、Sayoko-daisyさんは三重県の自宅で音楽を作っていらっしゃいますが、音楽をするためには場所は重要だと思われますか。

 

S:飽きっぽい性格なのに続けられているので、多分自分には向いている環境なんだなって思います。自宅で一人でやっているから、好きなだけ、自分の気分が落ち着くまで、納得行くまで出来ますから。これがバンドだとスタジオ代とか、時間の問題で不本意なテイクをそのまま使うことになっちゃうとか、そういうことにもなりかねないですから。

 地方にいると不便ですけど、もしこれを東京でやっていたとしたら、もう趣味じゃなくなっているんじゃないかと思いますね。家事どころじゃなくなるくらい、のめり込んじゃうんじゃないかなっていうのがあるんです。地方にいるとそんなにライヴも誘われないですしね(笑)。人からちょっと離れた所にいるっていう、その適度な距離感を保ってた方が、自分のペースを守れていいかなって。マイペースが一番ですから。

 

 

【2014年12月5日、奈良市内にて。】

 

 

#1 #2 #3 #4 #5

 

 

 

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ノーマル・ポジション
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