FUKUROKO-JI

興味をもった人にインタビューしたり、音楽について書いたりするブログです






ウワノソラ インタビュー  #1

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左から角谷博栄(gt,songwriting)、いえもとめぐみ(vo)、桶田知道(gt,songwriting)

ウワノソラ Official Web Site(http://uwanosoraofficial.wix.com/uwanosora

 

 

 関西在住の僕がシティ・ポップという言葉を初めて聞いたのは、ちょうど地元の奈良から大阪の大学へ通い始めた頃だった。“シティ”という響きにいまいちピンと来なかったのは、“シティ=東京”というイメージを持っていたからだろう。身近には対抗都市としての大阪があったが、それは決して“シティ”と呼べるような洗練されたアーバンなイメージはなく、無理矢理栄えさせたようにごった返した急造の“地域”にしか思えなかった。ただ、その違和感が“シティ”に対する憧れのようなものを引き起こしていったのも事実で、ある程度大阪という街を知り、「東京はどんなところなんだろう」と想像を膨らますにつれ、音楽の趣向もシティ・ポップへと寄り添うようになっていった。またそれと同時に、頭の奥底では「シティ・ポップは東京近郊に住まないと分からないのではないか」という、悔しさにも似た疑問が肥大してゆくのも感じていた。

 

 個人的に興味をもった人にインタビューしたり、音楽について書いたりする当ブログ『FUKUROKO-JI』。初回を飾る関西在住のウワノソラは、角谷博栄(gt,songwriting)、いえもとめぐみ(vo)、桶田知道(gt,songwriting)によるトリオ・バンドだ。2012年11月の結成からわずか2ヶ月ほどの期間で8曲入りのデモ(未発表)を制作し、今年7月に初の流通盤である1stアルバム『ウワノソラ』を、ハピネスレコードよりリリースした。
 僕が彼らの存在を知ったのは、奈良のレコード店「ジャンゴ」店主の松田さんが、ツイッターで『ウワノソラ』を絶賛されていたのを見たことがきっかけだ。早速手に入れて聴いてみると、インディーズ・バンドの1stアルバムとは思えないその楽曲/アレンジの素晴らしさに打ちのめされた。ぜひ彼らの曲作りやアルバム収録曲について聞きたいと思い、ダメで元々、インタビューの依頼を出したのだが、もちろんその裏では、東京近郊以外の地域からシティ・ポップを発信した彼ら自身について知りたいという下心があったのも付け加えておく。
 今回は、去る9月2日に行なった彼らの初となるインタビューの模様を、数回にわたってお届けする。最終回にはインタビュー当日に挨拶も兼ねて伺った「ジャンゴ」松田さんと、居合わせた常連のお客様からいただいたコメントも掲載予定。また、『ウワノソラ』収録曲についてはWebVANDAウチタカヒデさんがかなり詳細に考察されている。ぜひそちらもご参考いただければ幸いだ。

 

どこに住んでいようがこの3人が集まっていたらこういう音楽をやっていたと思います。(桶田)

 

──まず、バンド結成に至った経緯を教えていただけますか?

 

角谷:もともと桶田くんとは大学ですごく仲が良くて、教職の授業で出会ったんだよね(笑)。山下達郎さんのRCAのライヴ(PERFORMANCE 2002 RCA/AIR YEARS SPECIAL)のパーカーを着て授業を受けていたら、桶田くんが「山下達郎好きなの?」って声をかけてくれたんです。話していくうちに音楽の趣味が似ていることが分かってきて。
桶田:フフフ(笑)。
いえもと:私は2人と面識はなかったんですけど、大学のオープンキャンパスのステージに出るための音源審査があって、それ用に録っていたepoさんの「キミとボク」を歌ったデータを聴いて2人が誘ってくれたんです。
角谷:他にもいろんなヴォーカルが候補に挙がっていたんですけど、R&Bみたいにしゃくったり、黒人っぽい歌い方をする人が多かったんです。いえもとさんはその中で一番フラットでピュアだったし、ソプラノっぽい声が欲しかったのでピッタリだったんです。

 

──メンバーは最初から3人で固まっていたんですか?

 

いえもと:いや、最初は、なんかもっといっぱい人がいたんですよ。
角谷:大学で一緒だった友達と、卒業の記念に作品を作ろうって集まったんです。もともとは友達連中で1人の女の子に歌ってもらって、作品集を作りたいねって感じで。最初は桶田くんがアレンジャーとして君臨していたんですけど……。
桶田:なかなか進まず……(苦笑)。
角谷:いえもとさんにも声をかけていたのに、何も進んでいなくて申し訳なくなってきて、2012年の11月に「僕がアレンジャーやるから」って言って曲をみんなから集めたんです。その中でもあんまり気に入らないというか、そういう曲は作家に「これはできないよ」って言って。そうしていくうちに残ったのがこの3人だったんです。

 

──もともとは気軽な記念のつもりだったのに、曲を集めた段階でダメ出しをしたんですか。

 

角谷:やっぱりこだわってやりたかったんですよ。最初に作ったデモで終わらせるつもりが、納得いかなくて今回の『ウワノソラ』を作ったので。
桶田:メンバーが3人で固まってから、すぐに角谷さんの家に2週間泊まりこんでデモの曲作りをしたんです。

 

──そのデモというのは、「Umbrella Walking」などが収録されているものですね。結局、未発表になったということなんですが……。

 


ウワノソラ - Umbrella Walking - YouTube

 

角谷:それぞれの曲のルーツがバラけていて、カントリーもあり、ジャズっぽいのもありで、バラエティーに富みすぎてて、1枚のものとして聴きたくないなと思ったんです。
桶田:まったく流通とかも考えていなくて、とりあえずしっかりした形に仕上げたいという所で止まっていたんですよね。
角谷:デモの録音が終わった後、ミックスとマスタリングは東京でいい感じに仕上げてくれる人にお願いしたいねって話をしていて、流線形のCDの裏に書いてあった番号に電話をしてみたら、それが『ウワノソラ』をリリースしたハピネスレコードさんだったんですよ。そこでハピネスさんが「もうちょっと方向性を揃えたのができたらうちで出してよ」って言ってくださったので、今回の『ウワノソラ』の曲作りを始めたんです。レコーディングが長引いちゃって、結局このタイミングになっちゃったんですけど。

 

──『ウワノソラ』収録曲が出来上がったタイミングはいつだったんですか?

 

角谷:曲作りは2ヶ月で終わったので、2013年の2月には揃っていましたね。

 

ということは、2012年の11月にデモを作り始めて、3ヶ月後には『ウワノソラ』の曲も完成していたんですか……。とんでもなくハイペースだと思うんですが、実際『ウワノソラ』はレコーディングもろもろでその後1年半ほどを要して、今年7月のリリースになったということですね。

 

角谷:サポート・ミュージシャンが多いので、日程とかがなかなか合わなかったんですよね。
いえもと:でも歌録り自体は今年の1月末には終わったよね。
角谷:そうだね。そこからリリースまでが本当に長かった……。なので、今出している曲は結成から半年くらいで作った曲ばかりなんですよ。

 

──ちなみに、バンド名ってどういう風に決まったんですか?

 

角谷:これはいろいろあって……。去年ルルルルズさんと対バンがあって、それまでにバンド名を決めなくちゃならなくて。

 

──その段階では決まってなかったんですか。

 

角谷:決まってなかったですね。色々書き出して、流線形のクニモンド(瀧口)さんにも相談したんですけど、「“冷やし中華はじめました”にすればいい」って言われて、僕も「それ良いですね」って言ってたらレーベルの人に「何言ってるんだ」って怒られて(笑)。結局松本隆さんの小説の『風のくわるてつと』から「うわのそら」って単語を取ってきたんです。いえもとさんが「それを全部カタカナにしたら、字面がカタカナのノが並んでいるように見える」って言って、それ面白いじゃんって。

 

あ、確かにそう見えますね、面白い。音楽的にはシティ・ポップっぽいと言われると思うんですが、あまりこういう音楽を関西で、しかも若い人となると、最初はイメージが余り湧かなかったんです。

 

桶田:土地柄のイメージっていうのは、やっぱりライヴのシーンだと思うんですよ。その土地土地でライヴのシーンがあると思うんですけど、僕たちはあまり外に出ないグループなので、周りの流れに影響されない、好きなモノがズレないというか。だから、どこに住んでいようがこの3人が集まっていたらこういう音楽をやっていたと思います。

 

 

 

 

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